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- 2020.04.24 Friday
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Aマシナリーは、X社のメンテナンスで日銭を稼ぎながら、
電子機器Cの更なる開発を続けた。
「成功報酬」(「とりあえず開発中の機械を使ってください。
いろいろ不具合に対処しながら、機械を改良していきます。
うまく稼動するレベルに達したら商品代金を払ってください」)条件で何件か試作機を客先に納入した。
志は大きかったのだが、技術力や資金力がそれについていかず、
結局、不具合が解消されることはなく、商品化は失敗に終わった。
Aマシナリー社は最終的に「倒産」に至ったのだが、最も被害を蒙ったのはX社である。
電子機器Cのメンテナンスに不安を感じていたX社は、
将来の交換部品を十年間分くらいを在庫すべく、
Aマシナリーに一括発注(数千万円単位)した。
しかも、Aマシナリーの資金繰りが苦しいことは理解しているので、100%前金で支払っていた。
さすがにX社の担当役員も不安を感じたのか
「あの部品はいつできる?現在の進行状況は?」としきりに催促していたが、
Aマシナリーの返事は、「材料は手に入りました、これから加工にかかります」
などと応じていた。
X社の担当役員はその言葉を信じて安心するしかなかった。
だが、実際に倒産してみると、材料手配も一切されていない、
支払った前払い金はすべてAマシナリーの運転資金として溶けていたことが判明した。
普及率や手軽さから考えても、
Windowsが圧倒的に支持される時代になってきた。
競合社を含めて、ほとんどの会社がWindows機用のソフトを開発し始めた。
それゆえ、当然のことながら、多くのお客さんはWindows版のソフトを欲するようになり、
S技研(Unix版)ではなく、Mプロ(Windows版)からソフトを購入した。
また、ターゲットとする業界は、中国などからの輸入(お客さん自身が中国に子会社を作ったり、
提携先を見つけたりして、中国で生産し日本で販売するケースも多い)に対抗できずに、縮小しつつあった。
それゆえ、S技研のライバル(というか、それ以前は、ライバル2社が90%以上のマーケットを押さえ、
残り10%をS技研とその他数社で分け合うみたいな関係だった)の1社が廃業して、他の会社に権利を譲渡、
引き継いだ会社自身は自社では開発できないので、開発済みのソフトをコピーして販売するだけ。
ライバルのもう一社も、新たな開発はあきらめ、既存のソフトをコピーして販売するだけという守りの姿勢に入る。
その間隙を突き、Mプロは業界ナンバーワンの地位を獲得した。
お客側にも、業界のため、Mプロを積極的に育てようという機運があったらしい。
S技研のこのソフトもUnix用に開発されていた。